written by ゆうま

それは、うららかな春の日差しが差し込む事務所での何気ない日常――
「あのさ、ルスカ。覚えてる?」
「んっ? 何を?」
「俺のところに初めて来た時のこと」
「さあな。そんな古いこと忘れたよ」
「えっ……嘘……」
「ガイズ! そんな顔をするな」
「だって……めちゃくちゃ最悪な奴だったけど、俺はちゃんと覚えてるのに、ルスカが初めて俺の前に現れた時のこと」
「……最悪、か」
「あ、悪い……」
「いや。事実だからな」
「だけど! 今のルスカは違うし。俺、本気ですごい人だって思ってるし。それに……」
「んっ?」
「……それに……大好き……だし……」
「……ガイズ……」
「あぁ! もう。ルスカのせいで、恥ずかしいこと言っちゃったじゃないか!」
「……だから、忘れておきたかったんだ」
「えっ……?」
「世界で一番の恋人にあんな最低の姿を見せたなんて、自分が許せないな」
「…………」
「おっと。依頼人が来る時間だな。仕事、仕事」
「……ほんとルスカって、カッコつけのくせに照れ屋なんだから」
「それはお互い様さ」
「…………だな」
願わくはこの甘い日々が永遠に続きますように――


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